うぐいすについて

白夢 香里奈

 短編を書き上げて、思いきり伸びをしたとき、フト思った。これは新入生歓迎冊子である。なので、うぐいすが未だかつてない程の不人気になったり、四月に世の小説が焚書にでもされない限りは、小説を愛し、「書きたい・入部したい」という意思を持った、新入生の子が読むはずなのである。
 その中には恐らく昔から書き続けていて、私が書いたような作品ではチープに感じる子もいるだろう。しかし、まったくの未経験で入部する子、冊子を手に取る子もいる筈だ。
 そうした子から見ればうぐいすはその名前も相まって、相当硬派な団体に見えるだろうし、執筆というのは大変困難に感じる可能性があるだろうから、少しでもそのイメージを和らげるべく、wordを立ち上げたしだいである。
 
 うぐいす。これが硬派なイメージを持たれる原因は、その正式名称にある気がする。
「小説創作研究会うぐいす」
 うん、なんともお堅い。部員は着流しでも纏って、風の通る和室で井伏鱒二や夏目漱石を読んでいる。発表する小説はいわゆる純文学的で、ライトノベルやエンタメなんぞ書こうものなら原稿用紙で殴打される、そんな雰囲気がないだろうか。流石に言い過ぎかしら。
 結論から言うと、そんなことはない。恐らく読者のあなたが思っているであろう十倍は軟らかい。
 これは決してうぐいすが浮ついた集団というわけではないのである。兎に角、自由。これである。
 皆色々なものを読む。勿論、純文学を読む部員もいるが、ライトノベルにエンタメ小説だって読む。普段は遊んでいると言えば聞こえは悪いが、もう少し丁寧に言うと、各々の好きなもので親睦を深めていると言ったらよい。
 基本笑顔で騒いでいる。ドアを開ければシン……、とした空気に包まれているというわけではない。漫画を読むもの、持参した携帯ゲーム機で遊ぶもの、勿論原稿を見せ合って創作談議に花を咲かせるものたちもいるのである。興味はあるけど緊張するという人は、「部員との会話や同好の士を見つける」をメインに参加してはどうかしら。
 新入部員を対象に少し面白いものがある。「無礼講トランプ・ウノ」というもので、名前は筆者が勝手につけた。
 ルールはシンプル。ゲーム中は上下の関係が極限まで薄められる。言葉遣いも多少荒くなるが、神経に障らない。逆に意外な性格が見えて面白い。何より、関係がほぼ対等になるから、新入部員の子も会話に入りやすい。去年は現会計、一昨年は現部長がこれを楽しんでいる。両者に聞くと、今でも印象的な思い出として残っているとのこと。
 ちなみに隠れた強豪は現渉外である。筆者と隣同士になった場合、必ず抗争が勃発する。単純な性格の筆者は幾度も辛酸を嘗めさせられた。読者のあなたも是非。

 先ほど、部員の読書幅は自由と書いた。当然、作品も自由であって、この冊子の目次を読めばわかるが、豊富なジャンルが並ぶ。何を書いても良いのである。むしろ、好き放題書いた方が良い。
 浅くも深くも必ず反応は返ってくる。ここの部員は皆優しい。文章や話の流れとしておかしな箇所、粗い点などは当然指摘するが、作品や作者の否定は決してしないのである。
 むしろ、必ず反応が返ってくる場であるのだから、沢山書いて、沢山話し合って、磨き上げてもらいたいものである。筆者はバイトや疲労にかまけてまるでしていなかった。創作意欲が沸き上がって来たのは四回生前期に差し掛かる今になってである。
 非常に悔しい。そして自身に腹立たしい。スイッチが入るのがあまりに遅かったのだ。なので、これを読んでいるあなたにはそうなってほしくはないのである。押しつけがましいと思うかもしれないが、創作に半端に取り組んでいると必ず後半になって痛烈に後悔する羽目になる。場合によってはこのような作品を書くかもしれないのである。是非とも思いっきり取り組んでほしい。
 
 先ほど思いっきり取り組んでほしいと書いた。だが、多くはどうやって書けばいいのか、掌編ほどのサイズも書けるか怪しいと思っているだろう。安心なされ。うぐいすに厳密なノルマは無いのである。まずは書けるところまでで良い。部員に協力を仰いで、一人で何とか書き上げて、その結果が一頁でも二頁でも構わない。筆者が初めて書いた作品は、丁度この冊子の片面一頁分しかなかったが、講師の方含め多くの方に指導してもらい頁数こそ変わらなかったが、掲載できた。
 また、年に四回発表の機会があるが、皆勤でなくともよい。一旦様子を見て、練りすぎて間に合わない、大いに結構。
 まずはがむしゃらに書いても良いし、執筆から完成の過程を見て学び、次回に参加してもらってもよい。たいへんよい。
 そもそも、小説とは好き勝手に動き回る、まるで統一性のない連中を綺麗にまとめて、文章として表現するものだと筆者は考えている。頭の中でアイデアを練り始めた時、書き始めた瞬間、あなたは凄まじいことをしているのである。
 そこには自信を持って、是非とも誇ってもらいたい。
 そして、あなたが書き上げた作品を読ませてくれること、小説について話し合えることを大変楽しみにしています。
 これにて終わりとしたいが、うぐいすについて多少は抵抗を無くすことができたであろうか。むしろ気圧されていないかが心配である。大層なことを述べたが、纏めると気楽に気軽に部室に来てほしい、あわよくば入部してほしいということである。それではこれにて。
 M・C マイ、サークル。