嵐山 中島橋にて

琥珀きみ

 

 ああ、音が
 落水の音がするのだ
 水しぶきは白くあわだち
 流れる水は透明で
 しかし時間は静かなのだ
 まるでゼリーのように澄んだ川は
 ときおり生まれる波紋がなければ
 固まっているのではと錯覚するほどに
 静かなのだ
 しかし
 川の水は堤防近くになると
 水は途端によみがえり
 走りはじめる
 勢いを増して
 宙へと飛びだして
 幾束もの しろい糸をひいて
 落水の音を立てて
 白くしぶきをたてるのだ

 

 岸辺の木が一つ、
 また一つと木の葉を落とす