短編/人間ドラマ/衍字
2024年新入生歓迎冊子 掲載作品
少女が語る、誰に向けたわけれでもない独り言。ノートに人知れず綴ったメッセージ。地の文は五文字、彼女による語りでほぼ構成されたさくっと読める掌編物語。
短編/人間ドラマ/衍字
2024年新入生歓迎冊子 掲載作品
なぜ俺は生まれたのだろう。
もー、人が生まれたことなんかに理由なんていらないんだよ。
きっと彼女が隣にいたらのんきそうにそう言っただろう。
これは彼女がいなくなってしまった「理由」を探す物語。
だけど、きっと――
長編/人間ドラマ/海
2023年大学祭冊子 掲載作品
世界がゾンビで埋め尽くされてから三年――自宅で籠城し、何とか生き延びていた赤羽雪音は不幸な事故で、ゾンビに噛まれてしまう。残された時間は七二時間。この三日間で自分に何ができるのか。そう考えた彼女の中で、ある欲望が湧き上がる。それは食欲。赤羽雪音は最後の食事に、大好物であるカレーを再び食したいと考えた。そこで、自宅から離れ、街に残された物資を収集して、理想のカレーを作ろうと旅に出る。
こうして、屍が彷徨い歩く世界で、彼女の人生最後のカレーを追い求める『カレー・オブ・ザ・デッド』が始まった。
長編/人間ドラマ/城輪アズサ
2023年大学祭冊子 掲載作品
──残光のようなあの夏の思い出に、僕はまだ生きていた。
専門学校を卒業した後、フリーランスのイラストレーターとして働く「僕」は、自分を取り囲む世界すべてに、常に消えることのない疎外感を覚えていた。
自分を置き去りにして流れていく人々、状況、時間。すべてがまるで、質の悪い夢のように感じられる。
人生が物語なら、物語から隔てられることも物語だ。つまるところこれは、そうした小説となる。
長編/人間ドラマ/城輪アズサ
2023年ダイフェス冊子掲載作品
正解と不正解。希望と絶望。生と死。そうしたすべてから逃げ出したくて、あの日わたしはバスに飛び乗った。けれどその先に待っていたのは、閉ざされた街と、怨嗟の記憶で──。
これはわたしが、わたしを許せなかったころの物語。
短編/衍字
2023年 新入生歓迎冊子掲載作品
「あーなんて幻想的な木漏れ日」
山道を散策していた彼女は斜光にふと足を止め、写真を撮った。
そして彼女は考える。
目で見えている景色と、実際の景色は同じなのだろうか、と──
短編/人間ドラマ/中津修治
2023年 新入生歓迎冊子掲載作品
電車って不思議ですよね。通勤の場であったり、出会いの場であったり、想い出の場であったり。人によって十人十色のストーリーが生まれる不思議な空間だと思うんです。そんな電車という空間で、物思いに耽る『元サラリーマン』、『学生』、『私』の3人のストーリーを描きました。皆さんも、電車に揺られながら思考の大海に飛び込んでみませんか?
短編/衍字
2022年 大学祭冊子掲載作品
○ 僕は街にある小高いソレが気になりある日登ってみることにした。
♯ 最近この街に引っ越してきた私は大好きなアレを求めて暑い日差しの中、足を前に進めた。
? 大学生の僕はとある講義でソノ人と初めて顔を合わせることになった。
△ 私はずっとソレにクレームを入れ続けてるのに。今日こそは改善してもらうからね。
☆ 高校生である僕はコノ席でクラスメイトのみんなを俯瞰して見るのが趣味なんだ。物事は一歩引いた所から見ることをオススメするよ。
上記五人の語り部による隠れたタイトルの結末とは。〇♯?△☆短編五種、それぞれの味をお楽しみください。
長編/甘
2022年 大学祭冊子掲載作品
やっと会えたね。待っていたよ。早速だけど、君について話していこうと思うんだ。時間は限られているから、疑問や質問は後にして、まずはその場で聞いてほしい。それじゃあページを捲っていくよ。
長編/まさち
2022年 大学祭冊子掲載作品
無限大の金を手に入れたら、同じくらいの欲望が生まれてしまうのか?
2007-2008年のリーマンショックをモチーフにしました。
上流階級出身の宮本澄華は、父親が難病に罹ったと知り、久しぶりに海外から日本へ帰国した。やがて父が亡くなり、生前に一生懸命立ち上げていた実家の潤沢な資金と株を、実弟の蒼翔が横領しようとする。澄華は家業を守り抜くため、大義名分で弟と最高な株の争奪戦を繰り広げる──
長編/碧
病に侵された少女は、奇跡的に助かった。しかし、その裏にあった非情な真実が、彼女を精神的に追い込んでいく。そんな彼女が、生きる意味を見つけるまでのお話です。