b■tter

短編/衍字

 

 僕には存在意義がない。

 この世には僕なんかよりも優秀で、必要とされている方々が沢山いる。そして僕なんかがいなくたって世界は何事もなく、何の不自由も不利益も被らずただただ続いていくのだろう。僕がいなくなっても僕の代わりはそこら中にいて、僕の仕事も当たり前のように引き継がれていくだけなんだ。

 

 僕は特別じゃない。僕は重要じゃない。

 僕は誰しもにとってありふれた存在でしかない。だからこそ僕には存在意義がない。価値で言えばきっと2,3百円程度のものだろう。

 しかしそれでも僕は自分で消えてなくなることができない。許されるのであれば少しでもこの世界に留まって、少しでも自分の価値を見出していたい。代わりがいくらいたとしても僕と同じものは存在しないのだと。

 

 

 あー今日も仕事の時間だ。僕はパンに塗られた。